ビールとポップコーン

ネタバレ書かずに、観た映画(ときどき読んだ本など)を雑文多めに記録しています。

「失踪日記」を読みました

失踪日記

失踪日記吾妻ひでお(2005)

ここ最近何年かぶりの読書熱が再燃してきて、図書館やAmazonで気になっていた本を探してはせっせと読んでいます。もちろん映画も観ているのだけれど。

このコミックもずいぶん前から気になっていた1冊です。帯に「全部実話です(笑)」と書いてある通り、漫画家の吾妻ひでおさんが失踪し、自殺に失敗し、ホームレスから肉体労働者になり、最終的にはアルコール依存症で強制入院させられた生活を描いています。

こうやって書き並べると「なにそれ笑えない…」と思ってしまいますが、これがすっっごく面白くてゲラゲラ笑えちゃうのだからスゴイ。巻末の漫画家とり・みきさんとの対談でも「本当に悲惨なところは避けている」と吾妻さんはおっしゃっていますが、コミックに描かれているエピソードだけでも相当悲惨…です。

例えば、ホームレス時代は真冬の野宿で関節の筋肉が収縮する痛さで眠れなかったり(これは凍死寸前の兆候らしい)、拾った天ぷら油を飲んだり、ゴミ捨て場で食料(エサ)を漁っている時に腐って発酵したりんごで手を温めたり…リアルなおじさんで想像すると「えっ…」となってしまうところを、4頭身のニコニコした「あじま」(ご本人)が「花梨酒の空き瓶見っけ!やっぴー!」(水を入れるとカリンに浸みた焼酎が出てくる)とか「ケーキだ!しゅわっち!」(大手スーパーのゴミ置場にて)とか完全なギャグ漫画として見事に昇華しています。でもって創意工夫が素敵でまた笑えるのです。

アルコール依存症で入院中の話も然りで、どの登場人物もキャラが立ってて笑えるけれど、これをリアルな人間で想像すると、やっぱり暗くてちょっとこわい話になってしまう。

こんなに壮絶な実体験をギャグにしちゃうのだから、「吾妻さんスゴイ!漫画家ってスゴイ!」と思いました。「ホームレスやってると働きたくなる、肉体労働をすると芸術がしたくなる」という言葉が印象的でした。漫画でも映画でも、悲劇を喜劇にできるのが芸術なんだなー。