ビールとポップコーン

ネタバレ書かずに、観た映画(ときどき読んだ本など)を雑文多めに記録しています。

「恋人たち」を観ました

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恋人たち(2015)

弁当屋で働く地味な主婦の瞳子。小さな会社で橋梁点検の仕事をしているアツシ。完璧主義の弁護士でゲイの四ノ宮。彼らの三者三様の恋愛と人生を描いた作品です。

 

すっかりハマってしまった橋口亮輔監督の最新作。「ハッシュ!」「ぐるりのこと。」「恋人たち」と立て続けに3本観ましたが(Netflix様様!)、どれもお世辞抜きの傑作でした。

本作でまず驚くのが、主役の3人が名の知れた俳優ではなく、全然見たことのない、なんかフツーの人、ということ。気になってググってみると、どうやら橋口監督のワークショップ兼オーディションに参加していた俳優志望の方々だそうです。この作品以前にもキャリアはあるのかも知れませんが、全く見たことがなく美男美女ってわけでもない方々だったので、フツーの人の人生をのぞいているような感覚で映画を観ていました。

アツシの物語はもう本当に救いようのない悲劇で、やるせなさにずっと息がつまりっぱなしでした。こんな耐え難い悲劇を経験している人が確実にいるわけで、この悲劇は今後もなくなることはなく、誰もが犯罪被害者の家族になる可能性があるとおもうと、いたたまれない悲しさと虚しさでいっぱいになります。

瞳子の物語は、どこにでもいる姑とソリの合わない主婦の、現実逃避に似たどうしようもない浮気の物語で、そのどうしようもなさと関わる人間のクズっぷりがこりゃ喜劇だな、とおもいました。パート先と自宅を行き来するだけの閉塞した生活の中で、女性自身を読みながら雅子妃に憧れていて、小説なんか書いてみちゃったりして。雅子さまのようには到底なれないけれど少しだけ小綺麗な格好をして鏡の前で皇族のように手を振ってみたりして。このクソ平凡で何の変化もない日常からちょっと抜け出してみたい、自分の人生変えられるかもしれない、という淡い気持ち。うん、切ない喜劇。

弁護士の四ノ宮の物語は、自己中心的で完璧主義な人間が周囲の人々の気持ちを慮ることをせずに、自分が大切なものを失って初めて何かに気付く、というお話。アツシや瞳子の物語に比べると少し弱めな印象。

一見何のつながりもない3人が実はつながっているというパターンは他の作品にもたくさんあるけれど、この映画ではそれが奇跡として描かれているわけではありません。自分の生活圏の中で偶然接した人物は、自分の人生にとって何でもない、ほとんど<無>に近い存在です。例えば、同僚が押し売りされたあやしい水の売主だったり、自分が食べているお弁当を作っている人だったり。わずかな接点はあっても全く存在を意識をしない人たちだって、自分と同じようにドラマの主人公であるということを、この映画は描いています。それは、奇跡でも何でもなくて、ごくありふれた出来事なのだということ。世の中には、吐き気がするほど数えきれない人間ドラマで溢れているのだということ。

 

 

恋人たち