ビールとポップコーン

ネタバレ書かずに、観た映画(ときどき読んだ本など)を雑文多めに記録しています。

「マジカル・ガール」を観ました

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マジカル・ガール(2014)

魔法少女ユキコ」という日本のアニメが大好きなスペインの少女・アリシア白血病におかされていて、アニメのオープニング曲を流して踊っていても、ふら…と倒れてしまうほど、もう余命いくばくもありません。アリシアの父・ルイスは失業中で、自身の蔵書を売っては日銭を得るような生活。父娘2人が食べていくのにやっとの状態です。

ある日、ルイスがアリシアのノートをのぞいてみると、そこには願い事が書いてあり、「13歳になる」という胸を打つ願い事の他に「ユキコのドレスがほしい」というお願いがありました。ネットで検索してみると、アリシアのほしがっているドレスは有名デザイナーが手がけたレア物であり、日本円にして90万円もする超高価なものでした。

手放すのをためらっていた蔵書を売り払い、友人に借金の相談をし、新しい仕事を積極的に探すルイス。しかし、不景気のスペインで短期間に7,000ユーロを稼ぐのは、到底不可能なこと。果たして、ルイスはアリシアのために「魔法少女ユキコ」のドレスを買ってあげることができるのでしょうか……?

 

何の前情報もなく観ましたが、まず冒頭のタイトルバックでちょっと懐かしい感じのアニメ主題歌みたいな日本語の曲がバーンと流れたのでびっくりしました。この曲はアリシアの好きな「魔法少女ユキコ」の主題歌として劇中でも(クライマックスではかなり効果的に)使われるのですが、この曲が長山洋子のデビュー曲ということでさらに仰天しました。

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日本で劇場公開されたのは2016年3月。そういえばその頃、長山洋子の曲がスペイン映画に使われているとかいないとか、ざわざわしていたような気がしなくもない…。

魔法少女が主人公だったり、検索エンジンYahoo!とかGoogleじゃなくて、なぞの「Rampo!」でなにコレ?って思ったらあとから黒蜥蜴が出てきたり、このスペイン人監督は相当の日本オタクなんだろうな。

 

序盤のストーリーからすると、日本のアニメ好きの瀕死の娘のために奔走する貧乏な父=感動ストーリーなのかと錯覚しますが、その実まったく違うお話で驚きます。視点が二転三転して物語が進んで想像だにしなかったショッキングなラストにつながっていくので、情報なしで観るのがおもしろい映画だとおもいます。

本編でも説明が少ないので、2人の関係には何があるのだろう?とか、過去に何があったんだろう?とか、あの扉の向こうはどうなっているんだろう?とか、そういう想像の余白が豊かで観ていてたのしい。観終わったあとに誰かと感想を話すと、いろんな解釈や妄想が聞けそうだなー。

全体的にはフィルム・ノワールで悲劇の連鎖になっています。バルバラという名の美女が登場するのですが、それがファム・ファタール的で物語が進むにつれ怪しい雰囲気ムンムンなのです。彼女の顔が画面いっぱいに映るラストシーンには、どきーっ!とさせられます。美女に胸がどきどき、の方じゃなくて、肝を冷やす方のドキッ、です。

 

日本版の予告編は編集が気に入らないので、トロント国際映画祭のトレイラーを貼っておきます。

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あと、タイトルは「マジカル・ガール」なのに、なぜかどうしてか「ミラクル・ガール」が頭の中を流れてしまうのです。ラテンミュージックやエンディング曲(!)もすっごくかっこいいのですが、この映画を脳内で反芻するとエンディング曲は「ミラクル・ガール」で…。これくらいポップにしちゃってもよかったんじゃない?とか。いや、ないか。

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