ビールとポップコーン

ネタバレ書かずに、観た映画(ときどき読んだ本など)を雑文多めに記録しています。

「リップヴァンウィンクルの花嫁」を観ました

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リップヴァンウィンクルの花嫁(2016)

だいぶ前、黒木華が猫の形のかぶりものをして立っているだけの予告編を見たとき、まったく内容がわからないうえ監督が岩井俊二だったものだから「あー」とおもったのですが、すっかり忘れてそのままスルーしていました。今になってふっと思い出して観てみよう、とおもったのですが、どんな内容かわからない3時間の映画……で一瞬ちょっと怯んだものの、事前情報なしで観てよかったとおもったし、3時間はあっという間でした。

 

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主人公の七海(黒木華)は、ネットショッピングをするのと同じような感覚でSNSで出会った男性と交際し、結婚することになります。……あらすじはここまでにしておきます。何も知らずに観たわたしは、次から次へと起こる意外な展開に驚かされておもしろかったので、これから観てみようかなーとおもった方がいたら、何も知らずに観た方がいい!とおもいます。

でもこれだけじゃあまりにも無味乾燥な感想になってしまうのでもう少しふわっと書くと、いろいろなことがあって七海はどんどん墜ちていくのですが、SNSで出会った何でも屋の「アムロユキマス」という男(綾野剛)がその都度、七海に手を差し伸べてくれます。でもその親切心にも裏があって、観終わったあとは、結局何が偶然で何が仕組まれた偶然だったのか分からないのです。幸と不幸、明と暗、陽と陽、生と死が表裏一体であるということを教えてくれる、おとぎ話のような物語です。

印象的だったのは、消極的でなんとなく生きている風だった主人公が、人生や生活が墜ちてゆくなかで、何だか少しいきいきと見えたこと。真白(ましろ)という名の主人公とは真逆なタイプの女性(Cocco)と出会い過ごしている間、その時間も空間も主人公にとってはまるで異世界で、主人公は思いがけず迷い込んでしまったアリスのようでした。でも不思議の国のアリスと違うのは、主人公が過ごしていたのは不思議の国なんかじゃなくて、多くの人たちが暮らす社会のすぐ隣にある現実なのだということ。

そしてもうひとつ、SNSがよく登場するのも印象的でした。「リリィ・シュシュのすべて」ではBBSだったけれど、いまはすっかりSNSの時代ですもんね。実生活では自分の意見をなかなか言えない主人公も、SNS上では「クラムボン」という名前で心の内をストレートにつぶやける。SNSでしか知らない、素性の分からない他人だからこそ、何でも話せてしまう不思議。

 

役者はとてもよかったです。いかにも岩井俊二向きな黒木華も、わたしの苦手なタイプの軽い人間とまったく同じ語尾感の綾野剛も、ぶっ飛んでいてもろくてやさしくて悲しいCoccoも、焼酎の一升瓶が似合うりりィも。とてもいい演技だしきれいだしで気になった女性がいたので調べたら、夏目ナナさんという方でした。知らなかったなー。ナイス配役。

 

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