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ビールとポップコーン

ネタバレ書かずに、観た映画(ときどき読んだ本など)を雑文多めに記録しています。

「バックコーラスの歌姫(ディーバ)たち」を観ました

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バックコーラスの歌姫(ディーバ)たち(2013)

もともと白人のお嬢さんたちがおんなじ動きをしながら楽譜通りお上品に歌っていたバックコーラス。しかし1960年代になって登場した黒人のガールズグループThe Blossomsは弾けるようなグルーヴ感で、その後の1970年代のブラック・パワーも相まって黒人のバックコーラスシンガーが大活躍する時代になりました。1970〜80年代のヒット曲を聴くと印象的な耳に残るコーラスが多く、よく聴くと同じ声があったり。

原題「20 Feet from Stardom」の通り、この映画はスターシンガーたちからほんの6m程のところでスターたちに負けず劣らずの歌唱力をもって歌っていた、バックコーラスシンガーにスポットライトをあてた作品です。すごくよかった。

 

彼らは聖歌隊出身が多く、ただ純粋に歌うことが好きだったり、歌うことが黒人としての存在証明だったり、ソロとして活躍することを夢見ていたり、モチベーションは様々。共通するのは、とにかくみんな信じられないくらい歌が上手だということ。

本編中に「ソロ歌手に憧れてた」「ソロになったはいいけれど結局うまくいかなかった」というエピソードがあって、これはなかなか切なかった。ソロ歌手としてバンドを維持することや人間関係、資金などに苦しんだり、世間に名前が大きく出ることでおかしくなっていった人もいるとか。どんなに歌うことを愛していても、どんなに並外れた歌唱力を持っていても、ソロ歌手として大成することのなかったバックコーラスシンガー。

これって歌やダンスなどはもちろんそうだし、役者とかお笑い芸人などの世界でもよくある話なのだと容易に想像できます。どんなに才能があって同業者からの評価は高くても、表舞台の中心に立つことのない人たちってきっといっぱいいる。

さらに芸事の世界にとどまらず、社会で働く人たちみんなに共通していることなんじゃないかと思う。会社員時代、人間性も良く個人の能力もある人が飼い殺しにされていたり、部署や上司に恵まれず心労からくる体調不良でフェイドアウトするように退職していく人もいました。「がんばればなんとかなるさ!」なんてウソ。努力や忍耐じゃどうにもならないことが世の中にはたくさんあって、人間はいつだって不公平だ。

バックコーラスシンガーの多くがソロ歌手として成功できなかったのは、選曲やプロデューサー選びの失敗だったのかもしれないし、「Aretha FranklinやTina Turnerはこれ以上いらない」という目に見えない業界のルールだったのかもしれない。

それでもやっぱり、Sting

公平な勝負のできる世界じゃない。状況や運や宿命や、そういうものを手に入れられるのが一流なんだ。

という言葉が心に刺さって抜けないのです。よく言われていることだけれど「一流の人間は運すら味方につける」的な。

ということは、最終的にロックの殿堂入りしたDarlene Loveは、表舞台から消えて家政婦をしていた時にChristmas(Baby please come home)がラジオから流れてきたのも、その時顔を上げて再起を誓ったのも、すべてその後につながる運命でソロ歌手として返り咲く宿命だったのかもしれない…とか何だか運命論者みたいだけど。

 

Led ZeppelinThe Rolling StonesDavid Bowieも、イギリスの白人バンドや歌手がこぞって、リアルな心の音を求めて黒人女性のバックコーラスを雇っていました。彼女たちの歌声は彼女たちにしか出せない音楽で他に代わるものは無く、そんなリアルな歌声を聴くとずしんと胸に響いて鼻の奥がツンとして、目頭が熱くなってしまってたまらない。

 

これはもうホント最高。

 

シビれるほどカッコイイ。

 

 

バックコーラスの歌姫たち [DVD]