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ビールとポップコーン

ネタバレ書かずに、観た映画(ときどき読んだ本など)を雑文多めに記録しています。

「スモーク」を観ました

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スモーク(1995)

ニューヨークのブルックリンで小さなタバコ屋を営むオーギー(ハーヴェイ・カイテル)と、彼の店の常連である作家のポール(ウィリアム・ハート)を中心とした群像劇です。登場人物それぞれにエピソードがあり、映画の中にもいくつかのちょっとした小話がありますが、そのどれもがじんわりと心に沁みたり、不思議な魅力を持っていたりします。

この映画の大事なポイントは「嘘」です。嘘と言っても、他人を陥れたり不愉快な思いをさせるような悪質な嘘ではなくて、ちょっとした面倒を回避したり体裁を保ったりするような、小さな嘘。そういう嘘を見抜いたとしても、それを指摘したり追求するような野暮なことはせず、その嘘と上手に付き合うことができるのがオトナなのだということ。そして、誰か一人でもその嘘を真実だと思う人間がいれば、それは嘘でなくなることもあるのです。

映画のラストを締めくくるオーギーのとびっきりの小話が真実か嘘かは分からないけれど、これが素晴らしくセンスの利いたいい話で、泣けて泣けてしょうがなかった。ちなみにこのシーンのBGMはトム・ウェイツの「Innocent When You Dream」というありがたさ。

中心人物のオーギーもポールもいいキャラクターだし、その他も人物もみんないい。轢かれそうになったポールを助け「ラシード」と名乗る黒人少年も、事故で妻と左腕を失った義手の男サイラス(フォレスト・ウィテカー!)も、オーギーの昔の恋人でアイパッチをした年増の美女ルビーも、オーギーの店で働くちょっとオツムの弱いジミーも。

原作は、映画の脚本も手掛けたポール・オースターの『オーギー・レンのクリスマス・ストーリー』という小説とのこと。ということで、この映画はクリスマスにはもってこいの心温まる人間ドラマなのです。

と言いながら私が観たのは、ようやく梅雨明けをした7月の終わりですが、いい映画はどの季節に観ようがいいに決まってる。

 

 

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