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ビールとポップコーン

ネタバレ書かずに、観た映画(ときどき読んだ本など)を雑文多めに記録しています。

「フィッシャー・キング」を観ました

★★★★★

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フィッシャー・キング(1991)

ニューヨークでイケイケなラジオDJだったジャック(ジェフ・ブリッジス)は、かつてラジオでの軽はずみな発言が原因で悲惨な事件が起きて以来、アル中のヒモ暮らし。ある晩、精神的に追い詰められている中で暴漢に襲われたジャックを助けた奇妙なホームレスのパリー(ロビン・ウィリアムス)は、自分はキリストの聖杯を探していて、ジャックこそが聖杯を手に入れるための選ばれし者だ!と信じて疑いません。クレイジーなホームレス!と迷惑がったジャックですが、パリーの悲しい過去を知って愕然とします…。

未来世紀ブラジル」「12モンキーズ」と合わせて、私の好きなテリー・ギリアム監督作品トップ3のひとつが、この「フィッシャー・キング」です。前2作がバリバリのSFなのに対し、この作品は「聖杯伝説」のフィッシャーキングのお話をモチーフに、心に傷を負った男の友情の物語です。しかしながら、精神衰弱状態のパリーにしか見えない真っ赤に燃え盛る悪魔の騎士はさすがテリー・ギリアム!というかっこよさだし、ヴォードヴィリアンのおっさんホームレスなどエッヂーな脇役もギリアム作品のたのしいところ。トム・ウェイツもね。

ジェフ・ブリッジスのかっこよさ(ダメ男役のジェフ・ブリッジス好きだな〜それから声が好き)や、ロビン・ウィリアムスのどことなく哀愁を含んだ笑顔は相変わらずすごく良いし、通勤ラッシュで混雑する駅の中、パリーが一目惚れした女性リディアを追いかけるシーンは、この映画の中でいちばん好きで、やっぱり泣いてしまう。恋をしていると、雑踏の中の人ごみがワルツを踊る人たちに見えちゃうなんてロマンチックすぎる素晴らしい演出!

こんなふうに以前と同じように感激するところもあれば、今回久しぶりに観て、レンタルビデオ店のオーナーをしているジャックの恋人アン(マーセデス・ルール)に「男から見た女性ってまさに彼女のよう」だと感じました。自分がアンと同世代になってようやく気付いたことです。とりわけ結婚適齢期(をちょっと過ぎたくらい?)の女性って、男性との関係に名前をつけたがったり、ダメ男の面倒を見てあげちゃったり、「プレッシャーなんてかけてない!」と言いながら男にチクチクプレッシャーを与えたり、曖昧な返答を嫌って白黒ハッキリさせようとする。でも結局、母のようなすごく大きな愛で、男を包んでくれる。それが男から見たリアルな女性像なんじゃないかな、と。

好きな映画を観直してみると、共感したりグッときたりするポイントが若い頃とはまた違っていたりして、こんなにも視点って変わるんだなぁ、と思わされます。

 

自分が救われたい、赦されたい、愛されたい、と思って相手が喜ぶだろうことをしても、自分の心は満たされない。でも、相手のためだけを考えた行いは、不思議と自分の心を満たしてくれる。…そういうものなんだなーなんて思うけれど、ニューヨークでもトーキョーでも、せわしない大都会で暮らしていると自分のことしか見えなくなっちゃうよね。そんな時にはこの映画を観て、ちょっと優しい気持ちになるのがいいかもね。

 

フィッシャー・キング [DVD]