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ビールとポップコーン

ネタバレ書かずに、観た映画(ときどき読んだ本など)を雑文多めに記録しています。

「裏切りのサーカス」を観ました

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裏切りのサーカス(2011)

東西冷戦の時代、イギリスの秘密情報部「サーカス」内にソ連のスパイ=“もぐら”がいるのではないか?という疑惑が持ち上がり、元サーカスの一員スマイリー(ゲイリー・オールドマン)と、彼を慕う部下ピーター(ベネディクト・カンバーバッチ)を中心として“もぐら”探しが始まる…というストーリー。

明快な青春映画を続けて観ていたので、気分転換に全然違う雰囲気の難しい映画でも、と思って観ました。が、あまりの難しさに1回では理解できず、そのまま立て続けに2回観ました。2回観てやっと、この映画の奥行きが分かるというか、初回と2回目じゃ観終わったあとの印象がまったく違うのです。好き・嫌いが分かれる映画かもしれませんが、私はすでに3回目を観たいくらい好きです。

イギリスのスパイといえば「007」のイメージで、派手なアクションとジェームス・ボンドのプレイボーイっぷりがお決まりですが、このスパイ映画は007と真逆(というより、本来のスパイ活動ってこんな感じが正解なのかもしれないけれど)。でもって、全体的に完全なゲイの香り。男同士の恋愛はもちろん、上司と部下だったり敵国のスパイ同士だったりの間には、尊敬や畏敬の念を超えた何かが漂っているのです。これが役者の小さな表情や仕草で表現されているのだから素晴らしい!「“もぐら”は誰だ?」とあれこれ推理しながらストーリーを追うのに精一杯になってしまう初見では、なかなか気づけないところでした。

この映画がなぜ難解なのかというと、登場人物は何人もいるのに状況の情報が少ないのです。カットやセリフも最小限。しかしながらその構成が、映画全体に独特な雰囲気の統一感を持たせています。この映画は「あっと驚く展開と意外なラスト!」という類のサスペンス映画というより、人間ドラマの味が強い映画だとおもいます。なのでなおさら「初見でスッキリ解決〜」ではなく、見返す度に、役者の演技や意図的に分かりづらくしているとしか思えない構成に、深く唸ってしまうのです。

映画のラストにフリオ・イグレシアスが歌う「La Mer」が流れるのですが、この朗らかな曲が切ないラストに絶妙にマッチしていて静かに興奮しました。そして、コリン・ファースベネディクト・カンバーバッチもすごくいいけれど、やっぱりゲイリー・オールドマンって最高。

 



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