ビールとポップコーン

ネタバレ書かずに、観た映画(ときどき読んだ本など)を雑文多めに記録しています。

「アルゲリッチ 私こそ、音楽!」を観ました

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アルゲリッチ 私こそ、音楽!(2012)

世界的ピアニスト、マルタ・アルゲリッチのドキュメンタリー映画です。彼女の2度の結婚と2度の離婚、一緒に暮らしたことが無い長女を含めた3人の娘のこと、演奏会での舞台裏からベッドでの寝起き姿…限りなく素に近いアルゲリッチの姿を撮ることができるのは、彼女にとりわけ愛された末娘だからこそ為せる技です。

この映画の監督でありアルゲリッチの末娘であるステファニーは、ひとりの女性として、また母親としてのアルゲリッチを映し出しているのですが、そこはやはり天才で奔放で気分屋な芸術家と言われる女性。彼女の家族のあり方に対する考え方や教育信念は、凡人の私にはまるで考えも及びません。ステファニーの言う通り、アルゲリッチはピアニストとしてだけでなく、人間的にも「超自然的で、常人には手の届かない高みにいる存在」なのです。なので、アルゲリッチが「私は働きすぎだし、旅のしすぎ。静かに暮らしてみたい」「悲しいしイライラする、歳だからかな」なんて年相応に至極ありふれた発言をすると、なんだかちょっとホッとします。そして、若い頃はもちろん、歳を重ねても、自然体で美しいです。

それにしても、邦題の「私こそ、音楽!」ってなんなんでしょう?確かに、感覚的で捉えどころのないアルゲリッチの存在は、音楽そのものかもしれません。しかしながらこの映画は、アルゲリッチの音楽と向かい合う姿よりも、三女ステファニーのレンズを通して撮られた「母親を中心とした家族の記録映画」という向きが強いです。

 


本編にも引用されていたビデオ。若い頃のアルゲリッチが弾くショパンの「英雄ポロネーズ」は、瑞々しく情熱的で好きです。アルゲリッチショパンについて「叶わぬ愛」だと言っていました。5′30″の笑顔、素敵です。

 

アルゲリッチ 私こそ、音楽! [DVD]