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ビールとポップコーン

ネタバレ書かずに、観た映画(ときどき読んだ本など)を雑文多めに記録しています。

「ノーカントリー」を観ました

★★★★★

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ノーカントリー(2007)

メキシコ国境近くのテキサス州を舞台に、麻薬がらみの大金を偶然見つけて持ち逃げした男、彼を追う殺人鬼、この事件の捜査をする老保安官、この3人を中心としたお話です。

狙撃されようが脅されようが大金を持ってどこまでも逃げる覚悟のベトナム帰還兵のモスも、父親の背中を追って保安官になった定年間近のベルも、やっぱりコーエン兄弟の描く人間はいいキャラをしています。しかしながらこの映画は、何と言っても殺人鬼・シガーの存在感に尽きる!歴代強烈キャラトップ5に不動でいらっしゃる。ヘンな髪型、血色悪めの大きい顔と大きい身体。牛屠殺用の圧縮空気銃(家畜銃ピストルというらしい…)とサイレンサー付き散弾銃を武器に淡々と人を殺し、怪我をしても淡々と自分で手当てします。喜怒哀楽を表に出さないので、シガーがニヤッと笑うとものすごく気味が悪い。荒野の商店で老いぼれ店主と理不尽な会話をするシーンは、かなりの恐怖です。胸糞悪さで名高い「ファニーゲーム」の「たまご貸して」に匹敵する不気味レベル。

世の中には、自分の理解の範疇を超える出来事がたくさんあります。長く生きればその分経験値は上がるのに、それでもなお理解できないことがあり、また長く生きたからこそ理解できないことだってあります。テキサスっ子がカウボーイハットを脱いで緑色のヘアーにピアス、ってのもまた、長く生きた老人にとっては理解しがたいことのひとつ。「こんな不条理な殺人どうかしてる」って頭を抱えても、暴力や殺人は今に始まったことではなく昔から血は流れていたわけで、自分の無力さを思い知って諦観してしまうのです。

すべてを理解することはできないし、思い通りにもならない。意に反してコインの表か裏を選ばなくてはいけないこともあるし、青信号を確認して進んでも事故に遭ってしまうこともある。世の中には色んな不条理があって、誰かを信じても、少し勇気を出しても、たとえ時代が変わったとしても、自分の力じゃどうにもならないこともあるんだなぁという諦め。そしてそれは、これからも続いていくのだと思います。

 

ところで「悪の法則」はシガー役のハビエル・バルデム出演で原作もこの映画と同じコーマック・マッカーシーです。監督はリドリー・スコットだし何だか面白そう!とおもって映画館に行ったのですが、内容を全く覚えていません…そのうち観直してみようかな。

 

ノーカントリー (字幕版)