ビールとポップコーン

ネタバレ書かずに、観た映画(ときどき読んだ本など)を雑文多めに記録しています。

「オクジャ」を観ました

f:id:somewherearoundhere:20170731211317j:plain

オクジャ(2017)

韓国の山の中でお爺さんとふたり暮らしの少女・ミジャ。彼女にとって唯一の友だちは、幼い頃からともに成長してきた巨大な豚のオクジャです。日が暮れるまで山の中で食料を獲ったり遊んだり、ミジャと賢く優しいオクジャはいつも一緒です。

ある日、テレビクルーを引き連れてやってきたミランド社の社員と動物学者(ジェイク・ギレンホール)は、オクジャの美しい体軀と完璧なデータを確認し、オクジャこそナンバーワンスーパーピッグであると認定します。オクジャは10年前にミランド社のCEOとなったルーシー(ティルダ・スウィントン)が遺伝子操作によって作り出した、スーパーピッグのうちの一頭なのです。10年の歳月を経て立派な成長を遂げたオクジャが、スーパーピッグ計画のアイコンとしてミランド社の本社があるニューヨークに移送されてしまうことを知ったミジャは、連れ去られたオクジャを救うためソウルへ行くことを決意します。

 

よく言えば自然で素朴、意地悪く言えば田舎臭くて垢抜けないミジャが、オクジャを追いかけ山奥からソウルの街へ駆け下りてきてオクジャと再会を果たし逃げ回るシーンは、アクションもカメラワークも素晴らしくいい!この一連のシーンだけ何度も観返したいくらいです。いつの時代の人間だよ、と言われてしまいそうですが、CGって本当にすごいですね。ソウルの地下街を爆走するオクジャは実在しているみたいな迫力があった。いやーすごいなーいまどきの技術って。

ところで、映画の冒頭で察しがつきますが、この映画は単なる自然児少女のアクションアドベンチャーではなくて、資本主義だとか機械的な食肉産業だとかをテーマにした社会派作品なのです。ALF(動物解放戦線)という動物の権利を訴えているテロリスト集団も登場します。本編では「組織の理念を大切にしているし、誰も傷つけるつもりはない」って平和的な発言をしているけれど、実在のメンバーは爆破や誘拐が得意みたいです……こわい。

動物解放戦線 - Wikipedia

 

どんなにガッツがあっても、どんなにオクジャを愛していても、たったひとりの少女の訴えに資本主義社会が耳を傾けるなんてことは無いのです。それを逆手に取ったラストは全然ドラマチックじゃないけれど、とても現実的でシニカルだと思いました。 

映画は小さな希望を含んで終わりますが、観終わったあとはなんだかすっきりしないというか、みぞおちのあたりが淀んでいるような感覚になりました。機械的な食肉産業(飼育や屠殺解体などの生産全般)にはわたしも反対です。でも、どんなに残酷だとかエネルギーの無駄づかいだとか言われていても、わたしはいまのところ肉食をやめるつもりはありません。このジレンマ、いつになったら解消するのだろう。

 

 

f:id:somewherearoundhere:20170801013758j:plain

 

「本日のおすすめ」を観ました

f:id:somewherearoundhere:20170731211511j:plain

本日のおすすめ(2009)

ニューヨークの人気レストランでスーシェフとして働いていた主人公は、新しい店舗のシェフは自分で決まりだと思っていました。しかし選ばれたのは自分よりもキャリアの浅い料理人。人事理由を「センスもパッションも君には感じないから」と言われた主人公は「パリに行くので!」と言って勢いで店を辞めてしまいます。ニューヨークでインド料理店を営む父親に報告しに行くと案の定理解してもらえず、興奮した父は心臓発作を起こして倒れてしまいます。病床で店の管理ができない父に代わって店に立ちながらパリ行きを探る主人公ですが、いい加減な料理人は厨房を不衛生にしているし、経営も不振であることに、主人公は頭を悩ませます。というお話。

 

わかりやすいストーリーで予想通りの展開なので、安心して観ることができました。この手の映画に悪人は出てきてほしくないし、予定調和なハッピーエンドで終わってほしい。というこちらの意をきちんと解してくれています。でも、ときどき差別的な台詞やちょっとキツめのジョークがあったりするので、ホームコメディというよりは大人向けなのかな。

インド料理の達人に出会った主人公は「お店を手伝ってください!」と達人にお願いします。達人はスパイスの買い出しから主人公に手伝わせるのですが、そこでスパイスを手に取り香りを確かめながら女性に例えるのが粋で素敵でした。

だいぶ前のこと、料理好きの友人から「塩分は引き算がだいじだけれど、スパイスやハーブはどんどん足し算してよい」と聞いて目からウロコが落ちた私は、自分でインド料理を作るときなど、映画の中で達人がやっていたようにインスピレーションや気分で、いろいろなスパイスをどんどんぶち込みます。どんなにスパイスを追加しても、食べられないシロモノになるどころか、ますます複雑な深みのある味になるから不思議。ちなみにわたしは、クミンがとても好きです。

 

 

Today's Special [DVD] [Import]

「リチャードの秘密」を観ました

f:id:somewherearoundhere:20170731211819j:plain

リチャードの秘密(2012)

大学進学を間近に控えた18歳のリチャードは、自分の彼女が元彼のコナーと何だか親しくしていることにムカついて周りに当たり散らした挙句、コナーにもいちゃもんを付け、小競り合いからケンカになって倒れたコナーの頭を思いっきり蹴り上げて帰宅したら翌朝コナーが死んだっていう最悪なニュースを知る、というお話。

殺人事件のニュースで時々耳にする「死ぬとは思わなかった」「殺すつもりはなかった」ってまさにこれ、と思いました。だってリチャードが振り返ったとき、コナーは立ち上がってふらふら歩いていたのだもの。このとき逆光で目にしたコナーのシルエット、リチャードは一生目に焼き付いたままなんだろうなぁ。図らずも他人の人生を強制終了してしまうということの恐ろしさにゾッとします。

映画が始まってからしばらくリア充高校生のヴァカンスや日常を見せつけられてなかなか何も起こらないのですが、実はこれが映画に現実味を持たせる効果になり得ているのだとおもいます。なんてことはない、仲間たちとわーわー騒いでお酒を飲んでみたり喫煙してみたり、かわいい女の子と出会って付き合って親に紹介してみんなで食事してセックスして。そんなありふれた日常を、観ている側が「そろそろ飽きたよ」と思う頃合いまで見せつけておいてからの、ありがちなシチュエーションをもって18歳にして人生詰むっていう。……容易に想像できてしまうリアル。

優秀なラグビー選手で人気も人望もあったリチャードはその後どうなるのか。それは完全なネタバレなので書きませんが、18歳が抱えるには重すぎる十字架を突然背負うことになってしまったリチャードの心理状態を、主役の俳優さんはよく演じているなーと思います。わたしは秘密を抱えて生きるのなんて絶対無理。

 

 

リチャードの秘密 [DVD]