ビールとポップコーン

ネタバレ書かずに、観た映画(ときどき読んだ本など)を雑文多めに記録しています。

「DOPE / ドープ!!」を観ました

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DOPE / ドープ!!(2015)

90年代ヒップホップおたくでオルタナパンクバンドを組んでいる高校3年生3人組。BMXやスケボーが移動手段で「ギャングを避けるアプリってないのかな」なんて言いながらL.A.のゲトーで暮らし、この生活を脱出するために主人公のマルコム(シャミーク・ムーア)はハーバード大学への進学を目指しています。ある日学校のいじめっこを避けるためにキケンな道を迂回したところ、ギャングで売人のドム(エイサップ・ロッキー)に声を掛けられます。このことがきっかけで、イケてる女の子ナキア(ゾーイ・クラヴィッツ)目当てにドムのバースデーパーティーに参加したところ、大変なことに巻き込まれてしまう……というお話。

いじめられっ子のオタク(でも負けない!)、かわいい女の子との淡い恋愛、プロムのシークエンスなどなど、わたしの好きな青春映画の要素がたくさん含まれてました。主人公トリオが90年代ヒップホップおたくなので当然その頃の音楽やカルチャーがたくさん登場するのですが、映画の舞台は現代のL.A.なので、いま人気のエイサップやタイガがそのまま現代のギャング役を演じているのもよかったです。みんな大好きファレル・ウィリアムスが制作総指揮で、わたしの好きなゴースト・ドッグことフォレスト・ウィテカーが制作兼ナレーション。

音楽やラップでゲトーを抜け出した実話「ストレイト・アウタ・コンプトン」の舞台ととても近いエリアのお話なのだけれど、本作では学力と知恵で底辺の暮らしから抜け出そうとしています。「黒人なのに大学へいくの?」なんて言われてしまうことがまだまだ普通にあるんだ……ってちょっとショック。と思ってしまうのは世の中のこと全然わかっていない人の発言ですね。でも「ストレイト〜」とほどヘヴィではなくて、笑って観られます。

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ゾーイ・クラヴィッツがかわいい。

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DOPE/ドープ!! [Blu-ray]

「ブラック・ダリア」を観ました

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ブラック・ダリア(2006)

15歳の少女がむごたらしく殺害された事件を、「ファイア&アイス」という異名を持つ2人の元ボクサー刑事が追う、というお話。ハードボイルドなクライムサスペンスがベースで、主人公(ジョシュ・ハートネット)と相棒とその妻(スカーレット・ヨハンソン)という微妙な三角関係とか、下品な富豪の娘にしてレズビアンの気がある謎めいた美女(ヒラリー・スワンク)の登場などもあり。

ブライアン・デ・パルマ監督作品は好き(わたしは「ファントム・オブ・パラダイス」が好きだし、夫は「スカーフェイス」が好き)だけれど、この監督は当たり外れがとても激しいのね。スカーレット・ヨハンソンも出演しているのにスルーしたはずがない、とおもいつつ、観た記憶もまったくない。あらためて観てみましたが、なんともビミョーな映画でした……もったいない。

それでもやっぱり、腐っても鯛というか、吹き抜けから階下の噴水に落下するシーンや、テーブルクロスを食器ごと派手に払ってダイニングテーブルの上で抱き合うシーンや、ばかでかいシャンデリアを撃ち落とすシーンなど、これはわたしの好きなデパルマ!というシーンもありました。

1947年に実際に起きた殺人事件をモチーフにして書かれた小説の映画化だそうで、「L.A. コンフィデンシャル」と同じ作者なのですね。L.A.〜が好きな映画なだけに、ますますもったいない。

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元々はデヴィッド・フィンチャーが監督するはずの企画だった(ちなみにフィンチャーはこの後、当作品のテーマと同じく、別のある未解決事件を描いた『ゾディアック』を手掛けている)。

ブラック・ダリア (映画) - Wikipedia

 『ゾディアック』はなかなかおもしろいので、もしフィンチャーブラック・ダリアを撮っていたらどうなったのかな?とちょっとおもってしまいました。

 

 

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「リップヴァンウィンクルの花嫁」を観ました

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リップヴァンウィンクルの花嫁(2016)

だいぶ前、黒木華が猫の形のかぶりものをして立っているだけの予告編を見たとき、まったく内容がわからないうえ監督が岩井俊二だったものだから「あー」とおもったのですが、すっかり忘れてそのままスルーしていました。今になってふっと思い出して観てみよう、とおもったのですが、どんな内容かわからない3時間の映画……で一瞬ちょっと怯んだものの、事前情報なしで観てよかったとおもったし、3時間はあっという間でした。

 

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主人公の七海(黒木華)は、ネットショッピングをするのと同じような感覚でSNSで出会った男性と交際し、結婚することになります。……あらすじはここまでにしておきます。何も知らずに観たわたしは、次から次へと起こる意外な展開に驚かされておもしろかったので、これから観てみようかなーとおもった方がいたら、何も知らずに観た方がいい!とおもいます。

でもこれだけじゃあまりにも無味乾燥な感想になってしまうのでもう少しふわっと書くと、いろいろなことがあって七海はどんどん墜ちていくのですが、SNSで出会った何でも屋の「アムロユキマス」という男(綾野剛)がその都度、七海に手を差し伸べてくれます。でもその親切心にも裏があって、観終わったあとは、結局何が偶然で何が仕組まれた偶然だったのか分からないのです。幸と不幸、明と暗、陽と陽、生と死が表裏一体であるということを教えてくれる、おとぎ話のような物語です。

印象的だったのは、消極的でなんとなく生きている風だった主人公が、人生や生活が墜ちてゆくなかで、何だか少しいきいきと見えたこと。真白(ましろ)という名の主人公とは真逆なタイプの女性(Cocco)と出会い過ごしている間、その時間も空間も主人公にとってはまるで異世界で、主人公は思いがけず迷い込んでしまったアリスのようでした。でも不思議の国のアリスと違うのは、主人公が過ごしていたのは不思議の国なんかじゃなくて、多くの人たちが暮らす社会のすぐ隣にある現実なのだということ。

そしてもうひとつ、SNSがよく登場するのも印象的でした。「リリィ・シュシュのすべて」ではBBSだったけれど、いまはすっかりSNSの時代ですもんね。実生活では自分の意見をなかなか言えない主人公も、SNS上では「クラムボン」という名前で心の内をストレートにつぶやける。SNSでしか知らない、素性の分からない他人だからこそ、何でも話せてしまう不思議。

 

役者はとてもよかったです。いかにも岩井俊二向きな黒木華も、わたしの苦手なタイプの軽い人間とまったく同じ語尾感の綾野剛も、ぶっ飛んでいてもろくてやさしくて悲しいCoccoも、焼酎の一升瓶が似合うりりィも。とてもいい演技だしきれいだしで気になった女性がいたので調べたら、夏目ナナさんという方でした。知らなかったなー。ナイス配役。

 

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